私が小学3年生の時、野良犬を飼っていました。いや、飼っているといってもくさりをつけて本当に飼っていたのではありません。わが家の庭で寝泊まりしていたので、エサをやっていた程度です。
白い色の野良犬で、私は「ワン」と名づけていました。
私はワンを飼っているつもりでしたし、ワンも私たち一家に飼われているつもりだったはずです。
当時私は母と一緒に早朝のジョギングをしていました。その途中、ビニール袋に入った魚が置いてありました。私たちはこれを持ち帰り、焼いてワンにやりました。
それからワンが姿を消したのです。
1〜2日後だったでしょうか、東映マンガ祭りの映画を見て帰宅した私に、玄関先で寝そべるワンの姿が見えました。「ワンが戻ってきた。いったいどこに行っていたんだよ」と声をかけましたが、ぴくりともしません。
ワンは横になったまま、冷たくなっていました。
私は驚いて、泣きながら家に駆け上がりました。あれだけ泣きじゃくったのは後にも先にもこれが一番だと思います。
道端に捨ててあった魚が原因かもしれません。毒が入っていたのかもしれません。だとすると、私たちがワンを殺してしまったのと同じです。
ワンは家族でした。家族の一員でした。家族だからこそ、死ぬと悲しくてたまらないのです。
あれから30年以上が経ちます。古びたアルバムにはワンの写真が何枚もあります。私が学校給食で残した食パンをワンがおいしそうに食べる様子の写真が私のお気に入りです。
30年以上経っているのに、これを書いているとワンが死んだ時の気持ちが蘇って悲しくなってきます。ワンは私の心の中に生き続けているのです。死んでもずっと家族の一員なのです。
posted by 犬の十戒 at 12:11
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犬の十戒